学校ルポ/八代小(国富町)

言葉を学び社会に関心 「複合語探し」も楽しむ

 国富町・八代小(川﨑昌彦校長、111人)は2023年度、NIE実践指定校となり、教師がそれぞれに創意工夫を重ね、NIE活動に取り組んだ。その中でメインとなったのは週1回10分間のNIEタイムで、全学年を対象に実施。児童が活字に慣れ親しんで多くの言葉を学び、社会に関心を持てるようにするため新聞記事を活用した。

 同校のNIE活動は金丸誠教諭(45)が中心となって計画を組み立て、まずは児童が新聞に触れて活字に慣れることを主な狙いとした。NIEタイムは昨年10月にスタート。授業内容に関連する記事を用い、児童の発達段階に合わせて各教師が取り組んだ。

 NIEタイムで低学年は紙面から片仮名言葉を探したり、高学年はタブレット端末を利用して気になる記事を要約したり。10分間という短時間だけに、教師が示す課題に対し児童は気軽にチャレンジできた。

 福嶋香織教諭(49)が5年生に先月行ったのは「複合語探し」。複合語は二つ以上の言葉が結び付いて新たな一つの言葉になったもの。初めに福嶋教諭は和語、漢語、外来語を組み合わせてできる例を黒板に貼り「複合語の種類は全部で六つ」と説明した。

 「用意、スタート!」。福嶋教諭の合図で、児童はマーカーを手にして2、3人で紙面に目を通し、5分間かけて複合語を探していった。記事だけでなく見出しや広告からも探し、40個以上見つけた児童もいて、最後は探し出した複合語から一つを選んで発表。「株式会社共同通信社」「給食無償化」「ボランティアフェスティバル」「ドキュメンタリー映画」など児童が発表した複合語に対し、福嶋教諭は「これは外来語と漢語の組み合わせだね」などと解説した。

 児童はNIEタイムを楽しんでいるようで、中畑愛香さん(11)は「知らない言葉を覚えることができて面白い」と言い、鍋島悠斗君(11)は「新聞は文字が多くて難しいけど、読むのに慣れてきた。もっと難しい記事も読めるようになりたい」と意欲を見せる。

 「まだまだ複合語はほかにもいっぱいあるので、たくさんの言葉に目を向けて」と福嶋教諭。「知らない言葉を知ることができるので新聞を見てください」と児童に呼びかけ、NIEタイムを終えた。

【写真】NIEタイムで紙面から複合語を探す八代小の児童たち

自信の育成つながる

 NIEタイムが進むにつれて低学年でもスラスラと記事を読めるようになってきた。このほかにもNIE活動として、記事を読んで感想を書いたり宮崎日日新聞の窓欄「若い目」への投稿に取り組んだりして表現力の育成を図った。子どもたちは新聞に触れることで社会に関心を持つこともできたようだ。また投稿を続けて紙面に掲載されることで、自信の育成につながったと思う。これからはICT(情報通信技術)の活用も視野に入れ、授業での記事利用や表現力育成に取り組んでいきたい。

【写真】金丸誠教諭