NIE(エヌ・アイ・イー)とは、Newspaper in Education「教育に新聞を」の略で、学校など教育の場で新聞を教材として活用することを言います。
1930年代にアメリカで始まり、日本では1985年に静岡で開かれた新聞大会で提唱されました。新聞を教材として活用するだけではなく、新聞の役割や新聞社、あるいは新聞記者の仕事について学んだり、新聞を作ったりすることも活動の一環になっています。
子どもの活字離れや「読解力」の低下が懸念される中で成果を上げ、注目されているNIE。PISA調査(2000年)*によると日本の場合、「新聞を週に数回読む」子どもの読解力はほかの子どもに比べ最も高く、新聞を読む頻度が下がるにつれて得点も低いという結果が出ています。新聞の閲読頻度が高いほど読解力の得点が高いという傾向は日本だけではなく米国や韓国、フィンランド、オーストラリア、カナダ、ドイツなどの国でもみられました。
世界新聞協会(WAN)によると80カ国以上でNIEが実施されています。日本新聞協会は2023年度に530校のNIE実践指定校を認定しました。
*PISA調査=経済協力開発機構加盟国を中心に3年ごとに実施される15歳児の学習到達度調査。主に読解力、数学的・科学的リテラシーを問う(デジタル大辞泉より)
【期待できる効果】
学校では…
1、読解力が増し、学力も向上
2、「考える」力を磨く
3、生活に関わりのある材料を提供することで、学習や社会に対する学生たちの興味
や自発性が増す
4、よりよい民主主義社会構築のため市民性を養う
5、教師と学生の立場が同じになる
6、教師の指導技術を高める
7、地域社会と学校との結びつきを強化
8、家族との関係改善
新聞社では…
1、長期読者層の育成
2、社会全体や地域社会への貢献
3、配付部数の増加
4、広告収入の増大
社会では…
1、新聞、教育関係者、学生とその保護者の相互理解が高まり、市民の質を高める
2、関心の高い積極的な市民の養成
3、新聞が、自らを教育する材料となりえることに対する認識の向上
【宮崎県の状況】
本県では1996年度に県NIE推進協議会が発足し、同年度から県内の学校で取り組まれています。2008年度以降は8校を実践校に指定。16年度以降、県NIE推進協議会の独自認定校を増やしました。各学校では、県内発行日刊新聞5紙の無償提供を受けて、授業が展開されています。22年8月4、5日、宮崎市で「第27回NIE全国大会宮崎大会」(主催・日本新聞協会、主管・県NIE推進協議会、宮崎日日新聞社)が、本県で初開催されました。
【県内での実践例】
1 コラム欄などを使い300字程度の意見文発表
2 口蹄疫を題材に劇創作
3 新聞をテーマにスピーチ
4 職場体験まとめやグループでの新聞作成
5 生徒の誕生日の1面から出来事を調べる
6 記事の要約
7 記事から選んだ国を紹介
8 切り抜いて新聞を作りコラムを付ける
9 投書への意見文
10 進路に関する記事をスクラップ
11 記事の読み比べ
【全国の実践例】
1 小学低学年…知っている字を記事から探す
2 中学校…記事や広告を切り抜きパンフレットを作って地理の授業に活用
3 中・高校…興味を持った記事を選び内容を論述
4 小・中・高校…クラス全員でテーマを決めてディベートの素材に
5 高校…理科に関する記事を切り抜き、現代版「理科百科事典」を作成
【NIEアドバイザー】
実践経験豊かな現役教諭(教員経験者、生涯学習関係者を含む)に委嘱し、全国で約310人、本県では13人が活躍しています。