学校ルポ/尚学館小(延岡市)

バルーン作りに挑戦 工作通し紙面に親しむ

 日本新聞協会によるNIE実践指定校として延岡市・尚学館小(堀田由美子校長、75人)は、さまざまな機会をとらえ子どもたちが新聞に親しむ活動を推進。読み終えて古くなった新聞を工作に利用するなどして、低学年でも無理なく活字やニュースに触れられるような授業を行い、新聞が身近にある環境づくりに工夫を凝らしている。

 「今日は何を使って授業をするのかな?」。林田愛(めぐみ)教諭(34)の問いかけに、2年生8人が元気よく「新聞!」と答えた。3、4時間目に実施した図工の授業で児童は新聞バルーン作りにチャレンジ。まだ記事を読むことは難しいが、協力し合って工作を行う中で新聞に親しませるのが授業の狙いだ。

 初めに児童へ古新聞が配られ、林田教諭が「習った漢字を探して丸を付けてみて」と指示。児童は鉛筆を手に紙面に向かい、ゲーム感覚で数えていく。続いて林田教諭が見出しの役割やページ構成など新聞の基本的な仕組みを分かりやすく説明していった。

 ひと通り新聞について理解すると、いよいよ工作へ。いすと机を廊下に出し、教室の床一面に新聞紙を並べながらガムテープでつなぎ合わせていく。新聞紙の見開きは長辺側が約80センチ、短辺側が約55センチ。これを長辺側に6枚、短辺側に9枚並べ、まずはバルーンの上部を制作し、中央部分には採光窓として半透明のビニール袋を取り付けた。

 床に並べた新聞紙の上を歩きながら作業するため、ずれてしまったりガムテープを貼り忘れて隙間ができてしまったり。互いに声を掛け合いながら、床に接する下部を長辺側6枚、短辺側5枚で作り、最後は上部と下部を貼り合わせてバルーンが完成した。

 バルーンの1辺には貼り合わせていない箇所があり、これが入り口に。林田教諭が扇風機を使って入り口から空気を送り込みバルーンを膨らませると、児童は中へ入って「楽しい!」「ここでお弁当を食べたい!」と大はしゃぎだった。

 岩谷健吾さん(8)は「新聞は難しそうと思ってたけど工作は面白かったので、これから読んでみたい」。津野桃佳さん(7)も「またバルーンの中に入って新聞を読みたい」と目を輝かせていた。新聞で楽しく遊んだ経験は、子どもたちが新聞に目を向けるきっかけとなるに違いない。

古新聞も授業に活用

堀田由美子校長

 NIE実践指定校になって2年目。職員室前に新聞を置き、児童が自由に読めるようにして、先生たちに古新聞も授業で活用してもらっている。年度初めには家庭でも子どもに新聞を読ませてほしいと保護者へ呼びかけた。5年生は壁新聞作りや記事の感想書きを行い、6年生は新聞コラムの視写に取り組むなどといった活動を続けてきたが、計画通りに進められなかったのは反省点だ。さらに先生たちが自然に新聞を活用できるような環境づくりを今後も進めていきたい。