興味関心、新聞で刺激 掲載作品紹介や紙面製作
宮崎市・みなみのかぜ支援学校(山腰美穂子校長、201人)は、昨年度に続き本年度も日本新聞協会によるNIE実践指定校として活動。高等部を中心に授業で新聞を活用するほか、本年度は小学部と中学部にも担当教諭を置いてNIE活動を強化し、知的障害のある児童生徒がさまざまな方法で活字やニュースに親しんでいる。
小学部と中学部では、宮日こども新聞の記事を読み、本紙「宮崎のエイブル・アート」欄に掲載されたクラスメートの作品を紹介したり、詩の投稿にもチャレンジしたり。障害の程度に合わせて教諭が新聞活用法を考え、児童生徒が親近感を持てるよう環境づくりが進められてきた。高等部は一般紙を中心にコラムの視写や防災教育で活用するなど、より本格的に新聞と向き合っている。
同校は各クラスで少人数指導を行い、教師は児童生徒一人一人の興味関心を把握し、それに応じた記事に触れさせる。同校のNIE活動を取りまとめる島嵜富美子教諭(59)は「特に興味のあることがない子どもも、隣りの子が関心を持ったことに影響されたり刺激を受けたりして新聞を手にする」と、子どもたちの反応を説明する。
桃木まほ教諭(52)が高等部3年の国語の授業で行った新聞作りでも各人の興味関心を尊重し、生徒7人はそれぞれにテーマを決めて取材や紙面製作に取り組んだ。卒業後の社会生活に向けてアポイントやメモの取り方、文章のまとめ方などを学ぶことが授業の狙いで、桃木教諭は「それらを網羅できるのが新聞作り」と言う。
生徒たちが取り上げたテーマは新型コロナやインフルエンザなどの感染症対策、宮崎市の救急車の台数、テーマパーク、スポーツなどさまざま。新聞記事やインターネットで調べた情報を参照し、タブレット端末に文章を入力したりレイアウトを考えたりした。
玉谷麗菜さん(18)は、自身も出場したフットサル大会の写真を載せた新聞を作ろうと複数のスポーツ面を参考にした。桃木教諭から「いろんな掲載パターンを知って写真のサイズを考えてみて」とアドバイスされ、「迫力のある写真をいっぱい載せた新聞を作りたい」と意欲を見せていた。授業の最後では、この日の成果を一人ずつ発表。その声からは完成に向けて手応えを得た様子がうかがえた。
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【写真】桃木まほ教諭(左)にアドバイスされながらスポーツ面を見比べる、みなみのかぜ支援学校高等部3年の生徒たち
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継続し活動広げたい
昨年度は学校全体でNIE活動に取り組めていなかったが、本年度は各部のNIE担当教諭が情報交換を進め、小学部と中学部で新聞の活用が進んだ。子どもたちは興味のある記事を積極的に探し、さまざまな情報が新聞から得られることを理解するようになってきている。教材として提供される新聞を各クラスで共有するため部数が不足しがちだが、NIEは継続が大事なので実践指定校の任期終了後も先生たちにアンケートを取りながら工夫を重ねて活動の幅を広げたい。
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【写真】島嵜富美子教諭