学校ルポ/宮崎大宮高(宮崎市)

記事精読し知識深める/2人一組でワークシート

 学業時間を確保しながら効率的なNIE活動を-。宮崎市・宮崎大宮高(高橋哲郎校長、1065人)は2年生の普通科、文科情報科で、ワークシートを使って新聞に親しむ取り組みを行った。昨年9月から12月までの間、生徒たちは新聞を通し実社会の知識を深めながら、ペアになった友人と感想を出し合うなど、いろいろな考え方に触れる機会になったようだ。

 同校はNIE実践指定校2年目。昨年度は記事スクラップや1分間スピーチを行い、新聞に触れる機会をつくってきた。本年度の取り組みは2人一組で1面トップの記事を読み、ワークシート「NIE提出用紙」にまとめるというもの。記事を読んで分からなかった語句と調べた意味の内容、記事の要約、自分の意見、ペアの生徒の意見を読んだ感想などを記していく。

 記事を要約する際は、記事のキーワードやキーセンテンス、5W1H(いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのように)をはじめ、見出し、第1段落(リード)を意識するよう指導している。

 用紙の提出は出席番号順に毎日1組。生徒それぞれ月1回提出するよう、スケジュールが組まれた。提出締め切りは1週間。指導した樋渡祐志(ひわたしひろゆき)教諭によると、同じ記事を読んだ生徒たちは直接話し合ったり、通信アプリを使ったりして意見を交換していたという。

 ある生徒は、首相が表明した経済政策について書いた在京紙の記事を読んだ。生徒は分からなかった語句として「骨子案」「国土強靱化(きょうじんか)」を挙げ、「骨子案は計画の枠組みとなる大まかな案」「国土強靱化は大規模災害時に迅速に回復する強さとしなやかさを備えた国土、経済社会システムを平時から構築すること」などと、自分で調べた意味を書き添えた。

 この生徒は「本当にこれらの政策が効き目があるのかどうか、政治の様子を監視していくのは、私たちの権利だと思うので、政治に興味を持ちたい」と感想。ペアの生徒の意見への感想には、「自分と似ている部分もあったが全然違うことも言っていて、新しい視点から考えることができた。次からは相手と話し合ったりして、より自分の考えを深めていきたい」とまとめていた。

 昨年9月から12月までの期間中、各紙の1面は生徒全員が1台ずつ持つタブレットへ送られた。用紙を提出する生徒以外も新聞へ目を通す機会になっていたようだ。

「自分の言葉」大切に

 生徒の負担が大きくならないよう、ワークシートを提出する方式を考えた。自分の言葉できちんと書いているかを評価のポイントとし、人の意見と自分の意見を対比させ差異を感じてもらいたかった。活動を通して、「新聞を身近に感じられるようになった」という生徒の声が多かった。新聞は難しいと思っていたが、意外に読めるものだと感じたようだ。新聞を購読していない家庭の生徒もいるので、少しでも新聞に触れる機会につながった。各紙を読み比べたので構成の違いなども読み取っていた。