広告の言葉や写真着目
喜々として紙面をめくり広告面を探す児童たち。NIEでは教材として新聞記事を用いることが多いが、日南市・油津小(根井誠校長、239人)で福島和馬教諭(44)が行った5年生の授業では新聞広告が活用された。子どもたちは言葉の選び方や写真の使い方などに着目することで、メッセージを伝えるための工夫や仕組みを学んだ。
5年生は1学期に日南市のカツオ漁を学習し、2学期には各児童が日南カツオの広告ポスターを作成。今回の授業では新聞広告のスタイルを参考にして、広告ポスターの改良に取り組んだ。
初めに福島教諭は、黒板に張り出したさまざまな全面広告を指し示しながら、写真の用い方やキャッチコピーの書き方など、それぞれの特徴を説明。特別な広告の例として本紙10月6日付の山下清展ラッピング広告も紹介した。
続いて、ここ数カ月分の各紙を児童に配り「これ面白いなぁと思う広告を見つけて」と呼びかけた。児童は新聞を数部ずつ手にすると紙面を次々とめくり作業に熱中。気になった広告面を抜き取っていった。
「最後は激推しの一枚を選んでもらうからね」と福島教諭。児童は「先生、激レアです!」「いいの見つけた!」などと声を上げ、抜き取った広告を互いに見せ合ったり感想を言い合ったりし、集めた広告面を自分の机の上に積み重ねた。
広告面を集め終えると、福島教諭が「激推しの1枚をタブレット端末で撮って送って」と指示し、黒板脇にあるディスプレーに一覧表示した。そこから何点かを福島教諭が選び「これは何の広告? どんな所が良いかな?」と児童に尋ね、広告に盛り込まれた工夫やアイデアを解説した。
ここで福島教諭は「インパクトのある言葉を使う」など新聞広告の特徴をディスプレーに表示。これらを参考にして、児童はタブレット端末を使って広告ポスターに手を加えた。改良したポスターも送信し、福島教諭が数点をディスプレーに映し出し講評。背景の色を変え、写真やキャッチコピーを追加するといった工夫の跡を評価した。
読者へニュースを届けるのが記事なら、広告主のメッセージを届けるのが広告だ。さまざまな広告面に触れたことで、児童たちは情報発信の面白さと難しさを実感できたようだった。
国語テスト好成績本校はNIE実践指定校となり本年度で2年目。新聞の活用方法を工夫し、本年度も5、6年生に記事の要約を行わせ、昨年度は1~4年生が4こま漫画を利用した。要約の素材となる記事は私が用意し、他の教師と共有することで実践しやすくしている。NIEに取り組んだことで、現在の6年生は昨年度と本年度の国語の学力テストで好成績を出した。今後はNIEによる成績向上のエビデンスを明確にして、さらに学校全体へNIEの取り組みを広げていきたい。