学校ルポ/生目台西小(宮崎市)

新聞「情報出合える場」 楽しく触れ合う環境創出

 情報との出合いを大切に-。宮崎市・生目台西小(海老原徹校長、170人)は、NIE実践指定校に選定され本年度で4年目。5年生の国語や全学年対象の「NIEタイム」で新聞を活用している。児童にとって新聞は「情報と出合える場」と捉え、楽しく新聞と触れ合う環境づくりに励む。

 週1回15分の「NIEタイム」。3年生担任の倉爪浩二教諭(61)は「先生は毎週、楽しみな俳句のコーナーがあります」と児童29人に話しかけた。倉爪教諭は宮日こども新聞「学園俳壇」の拡大コピーを全員に配り、一句一句を児童全員に音読させた。

 俳句は5・7・5の音でつくられる「世界一短い詩」と倉爪教諭は説明し、「この句の季語はどれ?」「この句のような経験をしたことがある人は?」と質問。児童が元気よく手を上げ、次々に発言していくと、NIEタイムはあっという間に終盤へ。最後は児童に好きな句にふられた番号と最初の5文字をタブレットで入力させる“人気投票”をして締めくくった。

 自分たちと同じ小学生の作品を通して、15分の間に児童は俳句の仕組みを学び、身近なものと感じ取ったようだった。倉爪教諭は「児童に投稿させるきっかけにしたかった」と意図を説明した。

 5年生30人の国語の授業では、中山美優教諭(24)が、全国紙と宮崎日日新聞を手に「全国紙と宮崎で発行されている新聞を比べよう」と呼びかけた。

 6班に分かれた児童たちは両紙の1面をじっくり眺め、気になった部分をタブレットで撮影し特徴を入力していく。「全国紙はいろいろな県の天気があるが、宮日は週間天気がある」「どちらにも同じ内容の記事がある」-。

 集まった特徴は「見出し」「構成(レイアウト)」「内容」の3分野に分けられ、グループごとに発表した。

 中山教諭は児童たちの発表を踏まえ、両紙の違いについて最後に「ただ違っていただけかな?」と問題提起。「全国紙は全国の大きいニュースが多かったけれど、宮日は…」と言いかけると、児童が口々に「宮崎の詳しいニュースが載っている」と答えた。

 多様な情報と出合える新聞とはどんな「場所」なのか-。全国紙と地方紙を比較する授業を通して、児童たちは新聞の特徴を自分たちの力でつかんでいた。

【写真】全国紙と地方紙の違いを調べる生目台西小の5年生

探求心高める時間
 
 NIEタイムでは1、2年生は児童が興味を持ちそうな記事を担任が紹介、4年生は児童に好きな記事を選ばせて発表をさせている。5、6年生は記事を素材にして問題を解いたり感想を書かせたりしている。児童にとって新聞は、何かを調べようとして見るのではなく、情報と出合い探究心を高めてくれるものと思う。NIEタイムで使った資料は図書室に飾っている。これまでつくりあげた環境を大切にして、児童たちに新聞を楽しく触れさせていきたい。

【写真】中島朋代教諭