学校ルポ/本庄中(国富町)

進路選択に新聞生かす 切り抜き要約し感想発表

 4人から6人のグループに分かれた生徒たちの中から拍手が聞こえてきた。国富町・本庄中(川越康孝校長、233人)3年生の「技術」の授業。担任の山本健太教諭(43)が「拍手が出た。いいね」と声をかけ、教室の雰囲気を盛り上げる。生徒たちは1カ月前にスクラップした新聞記事を素材に、自分の進路について意見を発表しあっていた。
  
 多様なメディアを使った情報の伝え方を学ぶ授業の一環。生徒たちは6月初め、5月30日付本紙から高校に関する記事をタブレットで撮影し、1枚のスライドに記事の写真と要約、感想をまとめていた。

 7月3日にあった授業では生徒が六つのグループに分かれ、タブレットでスライドを共有しながら互いの発表を聞き、内容が最も優れている1人を話し合いで選ぶことに。山本教諭は優れた発表を選ぶポイントとして、(1)記事の内容を正しく理解できているか(2)感想に自分の考えが入っているか(3)自分のこれからの生き方につなげる結論になっているか-を生徒たちに挙げた。

 各グループから選ばれた6人は、クラス全員に記事の感想と自分の意見を発表。「高校総体の登山でアベック優勝した宮崎大宮高校の記事から、協力の大切さを学んだ。僕たちも一致団結して高校合格を目指したい」「大谷翔平選手の変化球を解説した記事を読んだ。大谷選手を育てた花巻東高校はすごい。自分も自分のしたいことを全力でサポートしてくれる高校に行きたい」などと主張していた。

 山本教諭は発表を振り返りつつ「テレビと違い新聞は繰り返し読めるので、ニュースを見つけられた」という生徒の声を取り上げ、「新聞は紙媒体なので、読む人が好きなように読めるんだね」とメディアの特徴も解説していた。

 発表の中には、記事を読んで「中体連の地区予選をがんばる」と感想をまとめたものもあった。授業の日までに地区予選は終わっていたため、山本教諭は地区予選の成績が掲載された6月30日付本紙を生徒たちに示し、「新聞を見たら自分たちのがんばりが伝わるよ」と呼びかけた。

 山本教諭は、最後にスクラップをした新聞をもう一度生徒に読ませ、「みんな、いろいろなところに関心を持っていて素晴らしかった」と授業を総括した。

【写真】グループに分かれ、新聞記事を基に進路について発表する本庄中の生徒たち

マイレッスン 社会の出来事に関心

山本健太教諭

 新聞を進路選択に生かし、情報通信技術(ICT)の学習にもつなげたいと「高校」をテーマに記事をスクラップさせた。新聞は何度も読み直せる上に信頼性が高いと生徒たちに伝え、生徒が記事で取り上げられているときは「見てごらん」と呼びかけている。NIEを通じて生徒たちが社会の出来事に興味、関心を持つようになったと思う。朝5分、目を通し、面白い記事を友達に伝えるような、新聞を気軽に扱えるものにしたい。今後も無理のない範囲でNIEを続けたい。