学校ルポ/宮大付属小(宮崎市)

SDGs記事読み解く どの目標つながるか発表

 宮崎大付属小(柳瀬智文校長、595人)の4年生の授業「総合的な学習の時間」。前田貴宏教諭(35)は本紙6月9日付の記事「日向市のアカウミガメ 5月の産卵確認なし」を黒板に張り出した。持続可能な開発目標(SDGs)のロゴが付いた記事で、前田教諭はコピーを配って児童に読ませ「これってSDGsの17個の目標のうち、どれにつながるかな?」と問いかけた。

 児童の多くは、この記事をNIEノートで取り上げていた。NIEノートとは興味を持った記事を貼り付け、記事中に出てきた知らない言葉の意味や記事の感想などを記入して毎週提出するノートだ。昨年のNIE全国大会宮崎大会で発表校を務め、昨年度に続き日本新聞協会によるNIE実践指定校となっている同校では、3年前から6年生が取り組み、本年度は4年生も行っている。

 自分たちでも関心が強かった記事だけに、前田教諭の問いかけに児童は積極的に手を挙げる。一人の児童が「14番の『海の豊かさを守ろう』につながると思います」と答えると、前田教諭は「では、アカウミガメを保護すると、なぜ海を守ることになるの?」と再び問いかけ、児童からの答えを整理していく。

 ここで前田教諭が「実はアカウミガメは、陸に海の栄養を運んでいます」と説明。すると児童から「と言うことは15番の『陸の豊かさも守ろう』にもつながるんだ」との声が上がった。記事を読み解きながら考えを深めることで、児童は一つの事象がSDGsの複数の目標とつながっていることに気付くことができた。

 続いて前田教諭は、6月5日付の本紙に掲載された明道小児童と聴覚障害者のスポーツ交流の記事を使って授業を展開していった。この記事もアカウミガメの記事と同じくSDGsのロゴが付き、コピーを配って読ませ、どのSDGsの目標とつながっているかを考えさせた。

 タブレット端末も使い、どのような目標があるか確認しながら、つながりがあると思った番号とその理由を次々と発表していく児童たち。発表内容を板書した前田教諭は「いろいろ調べて考え方を変えていくと、つながっている目標は一つだけではないですよね。いろいろなことにつながっていくということを分かってください」と呼びかけ、授業を終えた。

【写真】新聞記事を読み、SDGsの目標とのつながりを考える宮崎大付属小の授業

マイレッスン ノート中心に進める

前田貴宏教諭

 本校のNIE活動はNIEノートを中心に進めており、授業で使う記事は児童がNIEノートで取り上げたものから選んでいる。私は今春からNIEに関わるようになったが、新聞記事は授業で何かを説明する際の根拠として使えるので、NIEをやって良かったと感じ、新聞を毎朝読みながら他にも授業で使える記事がないか探している。今後は児童に記事の要約をさせてみたい。またNIEノートも続け、親子で新聞に親しみ読解力向上に役立ててもらうようにしたい。