NIE全国大会に本県から2教諭が参加(8月7日)

 第22回NIE全国大会名古屋大会が8月3、4日、名古屋市熱田区の名古屋国際会議場でありました。過去最多の約2400人が参加。本県からは下田睦夫教諭(宮崎市立広瀬中)、児玉真理教諭(椎葉村立不土野小、県協議会独自認定校)、事務局が参加しました。
 今回のテーマは「新聞を開く 世界をひらく」。開会式のあと、名古屋大の天野浩教授(ノーベル物理学賞受賞者)が「世界を照らすLED~未来を照らすことの大切さ~」と題して記念講演し「新聞は研究の羅針盤。地球を取り巻く問題がよく理解でき、解決策を探る糸口を与えてくれる。よりよい世界を作る素材として使ってほしい」などと述べました。
 続いて天野氏、吉田沙保里氏(至学館大副学長・女子レスリング五輪メダリスト)、小出宣昭氏(中日新聞社顧問・主筆)、児童生徒2人が登壇。土屋武志大会実行委員長(愛知教育大教授)が進行役を務め「頭の知識 体の知識」と題する座談会を行いました。
 天野氏は「科学は個人の努力の積み重ねだけではなく、いろんな人の努力の積み重ねで発展する」、吉田氏は「3歳からレスリングを始めたが、家が道場だったのでやめたいと思っても逃げ場がなかった。中学の時にオリンピックで女子柔道の田村亮子(谷亮子)選手の活躍をテレビで見てやる気に火がついた」、小出氏は「頭の知識偏重で体の知識は軽んじられがちだが、体の知識は身についたら一生忘れないもの。新聞購読を体の知識としたい」と希望を述べました。生徒児童らは登壇者に「人工知能(AI)と人間はどちらが勝つと思いますか」「将棋の藤井聡太四段と皆さんはどちらが偉いですか」などと質問していました。
 終了後は懇親会があり、全国のNIE関係者らが懇談。次回開催県の主管社である岩手日報社の東根千万億社長は地元民謡「南部牛追い唄」を披露し、参加を呼び掛けました。
 2日目は会場を分散し、10の実践発表、8特別分科会、8公開授業が開催され、事務局は「行政との連携で進めるNIE」「主権者教育とNIE」の2特別分科会を聴講しました。
 「行政との~」では、豊橋市教育委員会の山西正泰教育長がコーディネーターを務め、一宮市立向山小の村田慎一校長(一宮市新聞活用研究委員会)、一宮市立萩原小の伊藤彰敏教頭(同、NIEアドバイザー)、高知県教育委員会の永野隆史教育次長、高知新聞社編集局の岡林直裕編集委員が登壇しました。
 村田校長は10年に市教委内に設立した一宮市新聞活用研究委員会について解説。主任対象の研修会を年2回実施しているほか、小中隔年での実践発表会開催、新聞切り抜きコンクールの取り組み、先進事例集や新聞活用ガイドブック発行などを紹介しました。
 伊藤教頭は記事の切り抜きや見出しを考える、写真を考える―などの実践例を発表しました。永野次長は全国学力テストで高知県の成績が振るわないため、県教委から働きかけて高知新聞社と新聞活用協定を結び教材の共同開発を行ってきた結果、全国学力テストの成績が上向いていることなどを報告。岡林編集委員は「新聞を活用する教諭は点在しており、校内で特別視され理解が得られないため、取り組みは広がらない。NIEを進めるには教育行政との連携が不可欠」などと述べ、学習指導要領と学校現場や教育行政のニーズ、新聞社としてできることの最大公約数を求めた結果、「書く力」を育てることに焦点を定めて活動していることなどを紹介しました。
 続く「主権者教育~」では三重県立桑名西高の水野悟教諭、名古屋市立丸の内中の西脇佑教諭、伊勢市立東大淀小の中北好美校長(NIEアドバイザー)が登壇。三重大の山根栄次名誉教授(三重県NIE推進協議会長)がコーディネーターを務めました。
 長く主権者教育を実践している水野教諭は、2016年7月の参院選挙にちなみ校内で模擬選挙を実施したことなどを紹介。「選挙権年齢引き下げにより選挙権を持つ生徒が生じ、授業が選挙違反にならないよう配慮が必要になった」などと述べました。
 学校周辺の放置自転車問題を報じる新聞記事を活用し、生徒に解決策を考えさせる実践を行った西脇教諭は「社会問題の解決に向け自らの考えを持てる生徒の育成が大切。新聞記事の活用は社会事象を多面的・多角的に考察し、公正に判断する力を高める上で有効」と強調しました。
 中北校長は前任地である志摩市立志島小で行った児童による新聞製作の実践を紹介し「小学校段階では、地域の一員としての役割を自覚し、安全で住みよい地域を自分たちで作り出す力を育てること、すなわちシチズンシップを身に付けるための学習を主権者教育ととらえている」と話しました。